専門職の方

つまずきの原因を分析すると子どもの未来が見えてきます。

感覚認知面の発達の問題は、周囲からは気づかれず、自分でも人と違うことが分からないため、知識を持った大人が気づいてあげる必要があります。発達障害かもと考えられている子どもの中には、様々な感覚認知の問題を併せ持ち、本人もとても困っていることも多く、気づくことができる大人との出会いは一生を左右するくらい重要です。

学習につまずく原因が感覚認知発達にあった場合、その子はずっと実力を発揮できずに満足できない進路の選択をしているかもしれません。

子どもたち一人ひとりが自分で未来を切り拓くことができる土台作りの為に専門職として関わることができたらと考えています。

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専門職【教員の方】

作業療法の視点から考える「つまずき」への支援

【行動面】

■感覚認知面に問題があると起きやすいこと

①視覚認知

光の眩しさや色のコントラストに敏感で、教室にいられなくなったり、ドキドキしたり、イライラすることがあります。また、教室の掲示物が多いと目に入ってくる情報が多すぎて疲れやすくなります。

②聴覚認知

音源の方向が分からずに距離感が掴めなかったり、様々な音色の聞き分けが出来ずに混乱してイライラすることがあります。

➂体性感覚認知(身体感覚認知)

身体に入ってくる感覚が分かりにくくてソワソワしたり、動き回った り、イライラしたりします。

■感覚認知面の問題を軽減する方法

①視覚認知

教室を少し暗めにしたり、間接照明を使って眩しさを軽減させます。視覚情報を制限できるように掲示物を減らしたり席順に配慮します。少しレンズに色が入っている眼鏡や影を作ることができる帽子の着用も効果的です。

②聴覚認知

イヤーマフや耳栓を利用しても効果が得られないときは、別室で落ち着くなどの対応が必要です。

➂体性感覚認知(身体感覚認知)

指付きの靴下やリストバンドなどの利用で身体に感覚が入るようにすると落ち着くことがあります。休み時間などはできるだけ運動をして身体に刺激を入れます。

【学習面】

■感覚認知面に問題があると起きやすいこと

①視覚認知

読み書きにつまずくことがあります。板書などは一度見ても記憶することに時間がかかり遅くなります。算数の文章題や国語の長文読解では文章全体の構成などが分かりにくく正解できなくなります。

②聴覚認知

教員あるいは発表者の声と、周囲の友達の声や雑音の聞き分けが難しく、必要なことを聞き逃してしまうことがあります。

➂体性感覚認知(身体感覚認知)

文房具の扱いや器械体操では道具から伝わる感覚が分かりにくく苦手なことが多いです。筆圧のコントロールも苦手です。また、バランスをとることが苦手で身体の中心が分かりにくいため、文字の形や計算式、図形をそろえて書くのが苦手になります。

■感覚認知面の問題を軽減する方法

①視覚認知

市販のカラーシートを教科書やプリントに当てて読むと読みやすくなります。罫線の少ないノートも有効です。真っ白な紙より、少しくすんだ色の紙の方が読み書きしやすいことがあります。モノクロ教科書も読みやすくなることがあります。窓際より廊下側の席の方が眩しくないので集中できることがあります。

②聴覚認知

席替えなどで音が聞き易くなることがあります。

➂体性感覚認知(身体感覚認知)

芯の硬い鉛筆やボールペンを使うと手に感覚が入りやすくなって形が整えやすくなります。文字は一度ホワイトボードや黒板に大きく書いてみると腕の運動も加わって記憶しやすくなります。

【生活面】

■感覚認知面に問題があると起きやすいこと

①視覚認知

距離感が分からずぶつかったり、整理整頓ができないことがあります。イメージで覚えられないので、忘れ物が多く、ものを無くしたりします。光に敏感で頭痛を訴えることがあります。

②聴覚認知

突然発される赤ちゃんの泣き声や小さな子どもの声、高い音、水洗トイレの音などが苦手で、生活の場所が限られます。

➂体性感覚認知(身体感覚認知)

不器用になりやすく、着替えや食事動作、トイレ動作が苦手になります。

■感覚認知面の問題を軽減する方法

①視覚認知

教科書や学用品などはバラバラに置かずに一か所にまとめるようにします。眩しさを軽減するカラーレンズの眼鏡やつばのある帽子で生活しやすくなることがあります。

②聴覚認知

イヤーマフや耳栓を使うと落ち着くことがあります。

➂体性感覚認知(身体感覚認知)

身体にフィットする下着やリストバンドを手首や足首などに付けると感覚が入って動作しやすくなります。感覚が入りやすい生活道具を使うと動作が滑らかになります。

専門職【保育士・幼稚園教諭の方】

作業療法の視点から考える「つまずき」への支援

【運動面】

■感覚認知面に問題があると起きやすいこと

①視覚認知

距離感が掴めずぶつかったり、極端に怖がったりします。

②聴覚認知

音源の位置が分かりにくく、特に屋外では合図などが聞き取れないことがあります。

➂体性感覚認知(身体感覚認知)

自分の身体の動きが分かりにくく、全身の使い方が不器用になります。目で確認できない後ろ側の感覚が分かりにくく、後ろに手を回したり、後進する活動は苦手です。体軸をしっかりして道具を使ったりすることも苦手になる傾向があります。

■感覚認知面の問題を軽減する方法

①視覚認知

慣れない運動や集団での動きは全体が見えるところで一度見るとわかりやすくなります(抱っこなどでも構いません)。屋外や体育館など光が日常と違う場合は帽子の着用などで見やすくなります。

②聴覚認知

声や音の位置が分かると聞き取りやすくなります。合図を鳴らす音は聞き慣れた音を使うと安心して参加できます。

➂体性感覚認知(身体感覚認知)

動きの方向を言葉や視覚的な誘導で教えてもらうと分かりやすくで動作できるようになります。

【行動面】

■感覚認知面に問題があると起きやすいこと

①視覚認知

光の眩しさや色のコントラストに敏感で、お部屋にいられなくなったり、イライラすることがあります。奥行や距離感が掴めず、お部屋の中が不安に感じられ壁沿いにグルグル歩き回ったりします。

②聴覚認知

音源の方向が分からずに距離感が掴めなかったり、様々な音色の聞き分けが出来ずに混乱してイライラすることがあります。

➂体性感覚認知(身体感覚認知)

身体に入ってくる感覚が分かりにくくて座っていられずソワソワしたり、動き回ったり、イライラしたりします。バランスがとれずにお友達にぶつかったり、力の調節ができずにトラブルになることがあります。

■感覚認知面の問題を軽減する方法

①視覚認知

部屋に慣れるまで端で見ていると全体が把握できて安心します。光に敏感な場合は、部屋の中でも帽子を利用すると安心できます。

②聴覚認知

日常と違う音が出る状況の時には、事前に知らせておくと安心します。イヤーマフの利用でも落ち着かない時には、一時的に別室で活動すると落ち着くことがあります。

➂体性感覚認知(身体感覚認知)

活動の中で身体感覚を育てる遊びをたくさん経験すると、イライラも収まってきます。力の調節を学習するような遊びも効果的です。

【生活面】

■感覚認知面に問題があると起きやすいこと

①視覚認知

目で見て記憶することが苦手で元の場所に戻すことができず、お片付けが上手にできません。

②聴覚認知

トイレの水の流れる音や突然発される赤ちゃんの声を怖く感じることがあります。食器や金属がぶつかり合う音も苦手なことがあります。

➂体性感覚認知(身体感覚認知)

目で確認できない身体の後ろ側が分かりにくく、着替えやトイレ動作が上手にできないことがあります。

■感覚認知面の問題を軽減する方法

①視覚認知

目印などを付けておくと片づけの場所などが分かりやすくなります。言葉で記憶しながら練習すると習慣になり易いです。

②聴覚認知

イヤーマフを使用したり目で確認しても怖がる場合は、別室で過ごすことも必要です。遠くからであれば聞いていられる音は慣れてくることもあります。

➂体性感覚認知(身体感覚認知)

動作を言葉で伝えると動き方の要領が分かりやすくなります。衣服の着脱などは目印を付けたり滑りやすい素材を使うとできることが増えていきます。